第8章 誠凛vs秀徳
高尾は優しくさやを包み込むと
幸せそうにさやの頭に頬を寄せた
「和成、前半よかったわ。さすがね」
「んー、俺ってば出来る男だからね
後半はさやちゃんに全てのプレイを捧げちゃうよ!」
「ぷっ!本当、和成ダメ…笑っちゃう」
「うそ!?マジだよマジー」
楽しそうに笑い合うさやと高尾
緑間はいらいらとした様子だが
先程の彼氏の余裕が響いているのか
大人しくその光景を見守っていた。
バンッ ------
「いつまでくっちゃべってんだ!轢くぞ!」
怒り心頭の先輩を筆頭に
秀徳選手らがぞろぞろと控え室から出てきた。
「宮地さん!すいまっせん!」
「!!しかも女だぁ?いい度胸だな高尾!
いちゃついてんじゃねえ!刺すぞ!」
高尾は宮地に首根っこを捕まれ、引き摺られて行った
さやは残された緑間の方に向き合う
「ありがとう真太郎
見てるわずっと。あなただけを」
「ああ、今日の勝利をさやに捧げよう」
緑間は優しく微笑んで
さやの頬にキスを落とすと会場に向かっていった
*
さやが応援席に戻ると
黄瀬が主人を待つ犬の如くシュンとしながら待っていた。
笠松はもう手を尽くしたらしく
お手上げ状態だ。
「涼太、戻ったわよ」
「さやっち!待ってたっすよー!」
わんわんと飛びかかってくる黄瀬をかわしつつ
コートの様子を伺う。
試合が始まって1分といったところか。
「お前も大変だな…」
「そんな事もないですよ、一応躾はしてあるんで」
「躾って!犬っすか俺はー!」
喚く黄瀬をスルーしていると
緑間がボールを持ちスリーを決める
でも様子がどこかおかしかった
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(喚かないの涼太
…お手)
(わん!)
(おかわり)
(わん!)
(いい子ね)
(この飼い主甘すぎる!)