第8章 誠凛vs秀徳
久しぶりに会うさや
久しぶりのぬくもり
今日も香るさやの匂い
全てが俺の心を溶かしていく
さやも再会を喜ぶように緑間に体を寄せた
「すまなかった…
来てくれて嬉しいのだよ…」
「真太郎…またかっこよくなったわね
素敵よ。体が熱くなったわ…」
耳元で囁くように言うと、緑間は途端に顔を赤くした。
今すぐ、さやを抱きたい
そう思った
体の熱が上がっていく
「あっれー!
さやちゃんじゃん!おっひさー!」
「高尾、戻れ」
閉められたドアからひょこっと、顔をだしたのは高尾だった
緑間は高尾の方を見向きもせず
不安を隠す様に、さやを抱き締める力を強める
「ひっでえな真ちゃん!そう邪険にすんなよー
な、ちょっとだけ!」
「くどいぞ
お前はこの前一緒に帰っただろう」
「そこはさ、彼氏の余裕で
お願いしますよー!」
"彼氏の余裕"
そう言われて緑間も少し考える
最近の俺はさやの事について
余裕がなさすぎだったかもしれない と
帝光中時代からさやが
他の男にちょっかいを出す事などよくあった話だ
それでも俺が飽きられた事は無いし
そう言う輩はすぐに飽きられ捨てられていた
「……いいだろう少しだけだ」
「…まじ!?ありがと真ちゃん!」
ふんっと鼻を鳴らし緑間はさやから離れた
さやは高尾の言い分に納得した緑間に驚いたが
高尾にもご褒美をあげるべきだと
思っていたので素直に引いた。
高尾は離されたさやに近寄ると
少し照れたように笑いながら、腕を広げた
「きて、さやちゃん」
「…ふふふっ可愛いわね和成」
「う、わ…名前、呼んでくれんの?
すっげー…クるわ…」
さやは広げられた高尾の腕に
そっと飛び込んだ。
胸板に沿うように顔をつける。
(柔けえ…ちっせえ…
本当にこれが女帝紅林なのか…?
可愛すぎてたまんねーな…)