第8章 誠凛vs秀徳
8-11で前半が終了した
高尾が黒子を抑え
緑間が脅威的なシュート範囲で誠凛を圧倒
ギリギリの所で誠凛は気持ちだけは
繋いでいたが
(かなり不利な戦況ね
真太郎、成長してる…。いいわね、本当。
ゾクゾクする…)
「ちょっと行ってくるわね」
黄瀬の腕を解き席を立ち上がるさや
黄瀬は慌ててさやの手を引く
「どこ行くんすか?…まさか、誠凛?」
「それこそまさかだわ
私が誠凛の所に行く理由がない、そうでしょう?」
妖艶に笑うさや
黄瀬は思わず、ぞくりとした
女王様の凱旋だ。
素晴らしい試合をする自分の駒を
女王が労い、称えに行く
「っ…はい…仰せのままに…」
「いい子ね涼太
笠松さん席取りまたお願いします」
さやは笠松にも声をかけ
愛しい緑間の元へ
唖然としながら黄瀬を振り返る笠松
「…お前、大丈夫か?
顔、やばい事になってんぞ」
「へ?」
恍惚の表情で頬を染めさやを見送る黄瀬
傍で見ていただけの笠松にも
もちろんその影響は出ていた
(ッチ…顔あちぃな…)
*
秀徳高校 控え室
さやはコンコンと扉を優しく叩いた。
「あ?誰だよ、こんな時に」
「…俺が出ます」
中では緑間の信楽焼が割られようとしていた
緑間は信楽焼を死守しつつ
自分のロッカーに入れ、扉を開けた。
「真太郎、素晴らしかったわ」
「さや…!」
妖艶に笑うさやがそこにいた。
前会った時の冷たさはもうない。
それに
今度は高尾ではなく自分に会いにきてくれた
それが嬉しくてたまらなかった。
「っ…さや好きだ」
「ええ、わかってる
この前は寂しかったのよね?」
緑間はさやをぎゅと抱き締めた
もう離さないとばかりに