第8章 誠凛vs秀徳
誠凛の実力テストも無事終わって
週末、
試合の時間がやってきた。
桐皇の選手らは別会場で試合ということで
黄瀬に誘われたさやは
誠凛vs秀徳戦を見に来ていた。
「はー…着いた。
人多すぎよ、まったく。」
余程注目の的なのか秀徳戦に向けて
ぞろぞろと人が入っていく
涼太は先に来てるはずよね…
正邦戦から見ると言っていた黄瀬
いくら黄瀬が目立つと言ってもこの人達をかきわけて
探さなければならない事に、げっそりとした
「さやっちー!こっちっすよー!」
「ああ、涼太…よかった
迎えに来てくれたの?」
会場の出入口からぶんぶんと手を振りながら
さやの所へ駆ける黄瀬
手と一緒に尻尾まで振っていそうな勢いだ
黄瀬はさやの手をとると
自分の胸の中に引き寄せた。
「会いたかったっすよさやっちー!」
「私もよ、涼太」
ぎゅと抱き締め合うと
黄瀬はすりすりとさやの頬にすりついた
(駄犬…)
黄瀬の駄犬っぷりに苦笑いをこぼしながら手を離した。
「あ、さやっち
火神っちに勉強教えたらしいじゃないっすかー!」
「誰から聞いたのそれ」
「もちろん黒子っちに!
ドヤ顔で"手料理美味しかったです"って来たっすよー」
「テツヤ…相変わらず涼太に張り合うのね…」
2人は手を繋ぎながら会場へ向かいつつ
他愛もない会話をしていた。
俺もさやっちの特別授業受けたい!
とか黄瀬が喚いていたが
お得意のスルースキルでかわし会場に入った。
会場に入ると人は更に多くなったように見えた
密集しているだけなのだが
暑苦しく、鬱陶しい
「こっちで笠松先輩が席取っておいてくれてるっす!」
「笠松先輩…?ああ、あの時の」
人混みから守られつつ歩くと
周りの人より少し飛び出た黒髪が目に入った