第8章 誠凛vs秀徳
「お疲れ様です。笠松さん」
「お、おう…お疲れ」
「丁度アップっすねー
笠松先輩席ありがとうございますっす!」
さやは笠松の隣に座り
黄瀬はさやの隣に座った。
(おいっ!なんでお前がそっち行くんだよ!
くそっ…あー緊張する…)
冷や汗をかき始める笠松をよそに
さやと黄瀬はコートを見つめる
緑間は今日は調子がいいようだ
フォームも落ち着いている。
「涼太、今日の蟹座は何位?」
「最悪な事に今日は1位っすよ
ちなみに黒子っちは最下位っす」
「今日の真太郎は…外さないわね」
「……お前らガチで言ってんのか」
苦笑いの笠松はコートを見る
確かに外さなそうな雰囲気はあるが
不意に手を止めた緑間がこちらを見ている気がした。
(なんだ…?)
視線の先を見ると
さやが頬杖をつき妖しげに笑っていた。
バッと目を逸らす笠松
(やっべえ…心臓うるせえ…)
「(私が見ている以上
外す事は許さないわよ…真太郎)」
緑間はさやの姿を見つめると
密かに口角を上げた
そしてコートの黒子に視線を落とす
「まさか本当に勝ち上がってくるとは思わなかったのだよ
だがここまでだ
どんな弱小校や無名校でも、皆で力を合わせれば戦える?
そんなものは幻想なのだよ
今日はさやが見ている
俺はさやの前でシュートは絶対に外さん
来い、お前の選択がいかに愚かか教えてやろう」
黒子は先程緑間が見ていた方をちらりと見た。
確かに黄瀬と笠松に囲まれて
さやがいつもの妖艶な笑みで見下ろしている。
「人生の選択で何が正しいかなんて誰にも分かりませんし
そんな理由で選んだわけではないです
あと誠凛は決して弱くありません
それにさやさんの前で調子がいいのは
君だけじゃありませんよ、緑間君
負けません、絶対」
「両選手、整列!」
試合が始まる