第7章 誠凛の実力テスト
「紅林っ!」
「おーりゃっ!!」
さやと若松は居残り練習中
若松と練習を重ねていく内に
さやは若松を認めていくようになり
さやの悪い癖が出始めていた
センターに限った事ではないのだが
"遊び"を始めてしまうのだ。
「っはあっはあ…これ、やる意味あんのか?」
「俺が楽しい」
「はああ!?んだそれ!」
かなり体力を消費している様子の若松は
膝に手をつき大きくため息をついた。
さやは以前とは違い
もうへばる事はなくなっていた。
「まあまあ、ええやないか
さやが調子いいちゅー事は
勝てる可能性も上がるっちゅー事や」
「今吉さんは紅林に甘すぎですよ!!」
制服姿でまったりと本を読む今吉に
若松が勢いよく噛み付く
さやは汗をかいたのでタオルでガシガシと
自身の顔を拭くと
隣に置いてあった若松のタオルをとり
「若松、汗ひどいけど」
今吉を睨みつける若松の顔をそっとタオルで拭った。
若松は途端に顔を赤くした。
居残り練習を一緒にするようになってから気付いた事だが
クラッチタイムに入ったさやは
若松にひどく優しくする時がある
これもまたさやの悪い癖だった
「ば、馬鹿野郎!
男に、んなことされても気持ちわりーだけだっ!」
「そんな事なさそうに俺には見えるけど」
「っ…!てかタメ口きくな!
クラッチ入るとそうなる癖やめろ!」
慌てる若松を見て今吉は呆れ顔だ
「(あんなんさやが好きですゆーとるよーなもんやで
ライバルばっかり作らんでやまったく)」
さやはギャーギャー言う若松を
いつもの様にスルーし
今吉が持っているドリンクを強奪した。
「ちょ、それワシの!」
「翔一、明日から翔一も居残りな」
「え….!?」
「おまっ!キャプテンを呼び捨てにすんじゃねー!」
にやりと笑うさやは
頼れるポイントガードに何をさせるつもりなのか
若松との練習を見ていた今吉は
嫌な予感しかしなかった