第6章 紫原敦
「なあ敦って誰やねん…
ワシは自分の1番にはなれんのか?」
「翔一…」
強く抱き締め
もういっその事壊してしまいたいと思った
今吉の切ない気持ちが痛くて
目をそらすように胸元に擦り寄った
「翔一、好きよ」
「っ…ワシもや
こんな、ダメになるくらい…さやが好きや」
「ねえ、キスして…」
そっと目を瞑ると今吉に顔を突き出す
長いまつ毛が伏せられ
ぷるんとした唇がキスを誘う
(あぁ…もういいわ
誰が1番やとか、醜い嫉妬やとか…
ワシがいまこいつを好きな事だけ感じれれば…)
今吉はたまらず唇にむしゃぶりつく。
「好きやで…んっ…好きやさやっ…」
「んはっ…んんっ…好きよ…」
溶けてしまいそうなキス
強く情熱的で、さすが3年生と感じるほど
テクニシャンで
女の感じるところを掠めてくる
(あ…気持ちいい…立ってられないっ)
がくっと崩れ落ちたさや
すんでのところで今吉が腰に手を回し
キャッチする。
「…なんや、気持ちよすぎたか?」
「しょ、いち…」
とろんとした目で今吉を見つめるさや
唇はてらてらと光り
赤く染まる頬が欲情的で
今吉はごくりと生唾を飲み込んだ。
キーンコーンカーンコーン --------
授業が終わる合図が鳴った
今吉はハッとし時間を確かめる
何分キスしていたのだろうか
やっぱりさやをサボらせてしまった
「翔一さん次の授業は行かなきゃ」
「そやな…また2人で会ってくれるか?」
「もちろん。翔一、好きよ
あなたは私のものだもの…」
妖艶に笑う姿に体が震える
先程までのか弱い女の子の顔と
余裕の笑み
どちらも今吉の心を掴んで離さない
もう、離れられないと今吉は悟った
「ああ…全部さやだけのもんや…」