第6章 紫原敦
紫原の今回の遠征は
ただの親善試合だと言うことで
さやは翌朝には紫原のホテルから学校へ向かい
紫原の応援にはいかなかった。
不貞腐れる紫原に学校が終わり次第
また戻る約束をして何とか機嫌を戻してもらった
「(明日の朝の便で敦は帰る…
寂しいわ、とても。
でも敦ならかならずIHでまたこっちにくる
本当…楽しみね)」
その夜
昨日シテばかりでゆっくり過ごせなかったからと
2人で夜の散歩に出たり
また愛し合ったりして
紫原は秋田へと帰って行った。
*
「これは…まずい」
2日間たっぷりと愛されたさやの体には
紫原がつけた所有印が至るところに付けられていた
誰かの順番になると夢中になってしまって
これを忘れるのは
私の悪いところだわ…
はあとため息をついてスマホを手にとると
"翔一
大輝
翔一
翔一
涼太
真太郎
翔一
真太郎"
etc…
ずらりと並んだLINEのメッセージ
特に順番に慣れていない今吉からのLINEは
半端じゃなく
"なんでまた練習こんねん"
"午後練もこんのか?"
"さやいまどこや
会いたいねん…"
と、ひっきりなしだ。
なんだか可哀想になったさやは
まず青峰に
"おはよう大輝
応援行けなくてごめんなさい"
黄瀬に
"おはよう涼太
可愛い駄犬はまた私に会いたいのね?""
緑間には
"おはよう真太郎
大丈夫、高尾くんとは何も無いわ
今でもあなたが好きよ"
それぞれ返信し
今吉のホーム画面を開くと電話をかけた。
「っはい!もしもし!」
「翔一さん出るの早いですね
もう休み時間終わりますよ?」
「っ当たり前やろ!
自分全然連絡してこんし、練習にも顔出さんし!
休み時間なんてどうでもええわ!」
今吉はどこかへ向かって走っている様で
雑音や荒い息遣いが聞こえてくる。