第6章 紫原敦
さやと敦は空港を出て
敦お気に入りのカフェへ向かった。
そこは帝光中時代2人で何度も行ったお店で
落ち着いた雰囲気の店内には
アンティークの小ぶりなシャンデリアを飾ってあり
タルトが絶品だった。
「ここへくるのも久しぶりね」
「紅ちん俺が行ってからー
ここ来てなかったのー?」
「ええ…1人じゃ来る気にならなくて」
2人はふたりがけのソファに横並びで座っていた。
まずは軽食のサンドイッチを食べ
デザートに紫原は5つもタルトを注文していた
色とりどりのタルトが机を彩やかに染める。
さやはアフタヌーンティーセットを頼み
好きなものを少しずつ食べていた。
「紅ちーんこれおいしーよー」
「本当によく食べれるねその量」
「お菓子とデザートはー、別腹だからねー」
今紫原が食べているのは巨峰のタルト
大きい巨峰がゴロゴロとのっている爽やかな果実の甘さ
紫原はフォークで切り分け
巨峰とタルトをぶすりとさすとさやの方へフォークを向けた
「あーん」
「…いいの?
じゃあ…あー、んっ」
ぱくりと口に含めば
果汁が溢れ出し甘さが舌を包み込む
サクサクのタルトもバターがきいておいしい
「ん、美味しいよ敦」
「だよねー今日1番の当たりかもー」
紫原はパクパクと食べ進めると
5つもあったケーキはすぐになくなった。
「あーおいしかったー」
「敦、ご馳走様。本当によかったの?」
カフェを出たところで紫原は大きく伸びをした
満足そうな顔をしている紫原にさやは微笑んだ。
カフェでの食事は
紫原が出すと言ってきかなかった為支払って貰うことになった。
「いいよー彼氏らしいことしたーい
さやちーん俺行きたいとこあるんだけどー」
「ありがとう。
いいよ。敦の行きたいとこ行こ」
紫原はさやの手を引き歩みを進めた