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リンゴ

第6章 紫原敦






練習後
さやはモップがけをして帰るのだが

その最中携帯がなる事はしょっちゅうで
いつもの事ではあるのだが

いつもは鳴り終わるまで待ってメッセージを送る


今日のさやは電話がなると

その表示を確認して、ブツッと即切り。


一連の流れを見ていた
桐皇1年、マネージャー達はより一層恐怖で震えるのであった。



「さや…今日機嫌悪いなあ」


「はあ、まあ、そっすね…」


「若松、なんかしたんか!?」


「なんで俺なんですか!
…今吉さんじゃないんすか?」



一足先に着替える今吉達は
ロッカールームをどんよりとした空気に包み込んでいた。

他の部員も少なからず攻撃を受けていた為
すっかりその雰囲気にのまれていた







「(ってなんで俺はちゃっかり待っとるんや!)」



練習後さやと帰るのが
癖になっている今吉は今日も体育館入り口で
イライラしながら佇んでいた。

そこに着替え終わったさやが現れた。



「翔一さんめげないですね」


「いやっこれはあれやっ…癖っちゅーか」


「はあ…まあいいです帰ります」


「ちょ、待ちぃや!」



今吉をスルーしてさやは帰り道を歩き出す

身長差ですぐに追いつくが
さやは何も話そうとせず

返事も「はあ」か「そうですか」



「(めげる…これはさすがのワシもめげる…)」


ブーブーブー -----



へこみながら歩いていると
桐皇からしばらく歩いた所でさやの携帯がなった。

またぶち切りかいな と見ていると
さやは首元のボイスチェンジャーをはずし


今日初めての笑みでしぃーっとジェスチャーをした。



「もしもし、敦?」


「あー紅ちん?大丈夫ー?」


「大丈夫じゃない。会いたいわ。」


「もー、まだ5日もあるよー
やっぱりー紅ちんは俺がいないとーだめだねー」






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