第6章 紫原敦
練習後
さやはモップがけをして帰るのだが
その最中携帯がなる事はしょっちゅうで
いつもの事ではあるのだが
いつもは鳴り終わるまで待ってメッセージを送る
今日のさやは電話がなると
その表示を確認して、ブツッと即切り。
一連の流れを見ていた
桐皇1年、マネージャー達はより一層恐怖で震えるのであった。
「さや…今日機嫌悪いなあ」
「はあ、まあ、そっすね…」
「若松、なんかしたんか!?」
「なんで俺なんですか!
…今吉さんじゃないんすか?」
一足先に着替える今吉達は
ロッカールームをどんよりとした空気に包み込んでいた。
他の部員も少なからず攻撃を受けていた為
すっかりその雰囲気にのまれていた
*
「(ってなんで俺はちゃっかり待っとるんや!)」
練習後さやと帰るのが
癖になっている今吉は今日も体育館入り口で
イライラしながら佇んでいた。
そこに着替え終わったさやが現れた。
「翔一さんめげないですね」
「いやっこれはあれやっ…癖っちゅーか」
「はあ…まあいいです帰ります」
「ちょ、待ちぃや!」
今吉をスルーしてさやは帰り道を歩き出す
身長差ですぐに追いつくが
さやは何も話そうとせず
返事も「はあ」か「そうですか」
「(めげる…これはさすがのワシもめげる…)」
ブーブーブー -----
へこみながら歩いていると
桐皇からしばらく歩いた所でさやの携帯がなった。
またぶち切りかいな と見ていると
さやは首元のボイスチェンジャーをはずし
今日初めての笑みでしぃーっとジェスチャーをした。
「もしもし、敦?」
「あー紅ちん?大丈夫ー?」
「大丈夫じゃない。会いたいわ。」
「もー、まだ5日もあるよー
やっぱりー紅ちんは俺がいないとーだめだねー」