第5章 IH前
高尾side
さやは話してみると意外と楽しい奴で
ちょっと違うな…
楽しいってより落ち着く、みたいな
柄にもなくゆっくりとした話なんかして
あーこのままさやちゃん家つかなきゃいいのに
なんて思っちまう…
ダメだよな、真ちゃんの彼女なのに…。
「さやちゃんってなんで真ちゃんと付き合ったの?」
「ん?…なんで、かあ」
「あ、悪い意味じゃねーよ!?
ほらああ見えて真ちゃんってウブじゃんかー!」
「ブッ!ちょっと笑わせないでよっ!」
こうやって真ちゃんの話なんかすると
さやちゃんはよく笑って
なんか可愛いーなーとか、
「そうね…
真太郎は確かに気持ちを表現するのが
苦手なとこがあるわ
でも他の子達よりよっぽどロマンチックに
気持ちを伝えてくれたのよ?」
「あの真ちゃんが!?ロマンチスト!?
ブッハッそれ笑える!」
顔では笑いながら
"他の子達"っつー言葉が引っ掛かってた。
最初すげー笑ってた時にも言ってた
"真太郎達の彼女"
ってのも実はずーっと気になってた。
「あー、聞いてもいい?」
「ん?なにかしら」
「違ったら悪いんだけどさ
他の子達ってのはもしかして…」
「ああ…私、複数人恋人がいるの」
さやちゃんは飄々と何事もない様に言った。
それって…
公認二股って事!?
確かにさやちゃんは
すげー綺麗だし、それが出来そうな魅力はある。
けど俺と笑ってるさやちゃんが
そんなタイプには見えなくて
かなり驚いた。
「それって真ちゃんも知ってる感じ…?」
「もちろん。皆それでもいいと愛してくれるわ」
さやちゃんはふと妖艶に微笑んだ。
どくんっと心臓の音が大きく聞こえた。
バクバクと鳴り続け
周りの音が聞こえなくなってくる。
微笑む顔に優しく口付けたい
さやちゃんの彼氏達は
この笑顔に全てを赦してしまうんだな…--------