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リンゴ

第5章 IH前







「…なんなのだよその他人行儀な話し方は」

「真太郎?
ごめん、誰かわからずにでちゃったのよ」



電話の主は緑間だった。

さやは寝そべっていた体を起こし
スマホをきちんと耳にあてた。


「珍しいなお前でもそんな事があるのか」

「まあ…たまには、ね。
それでどうしたの?もしかして真太郎も今日試合?」

「いや…俺の試合は明日だ。
今日は黒子と外国人選手との試合でな」

「テツヤか…強く、なってるのかな」



黄瀬に勝った黒子。
黒子の新しい光はまだ鈍い光だが確実に輝いていた

光と影がキセキの世代に届くのか



「さあな。それはわからん
だが外国人選手と言うのは気になるのだよ

さや、一緒に見に行くのだよ」

「…いいわね。1番いい誘いだわ」

「…当然だ。
俺はいつでもさやの為に、人事を尽くしている。」



緑間と会場で落ち合う約束をし、電話を切った。









会場へ着くとすでに誠凛高校、新協高校共に
アップを始めていた所だった。



「さや、おそいのだよ」


声をかけられた方を向くと
似合わないサングラスをかけた緑間がいた。


「真太郎、ごめんね
一旦家に帰っていたのよ」

「!!よく俺だとわかったな。
やはり俺とさやは運命に繋がれているのだよ」



小さい声だったので
さやがきょろきょろと
自分を探すのを想像していた緑間は驚いた様に言った。


(あれ、これ驚いた方がよかったのかしら…
全然変装になっていないけど…)


緑間の天然ぶりに
柄にもなく気を使ってしまうさや

コートに目を落とすと、そろそろ試合が始まりそうだ。



「始まるのだよ」

「ええ、期待はしていないわ
でも私はテツヤを見られればそれでいい…」

「フンッ……」


気に入らないとばかりに黒子を睨みつける緑間だったが

そっとさやの手をとると
離さないように、離れてしまわない様に

強く握りしめた。






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