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リンゴ

第5章 IH前






その日の練習は

異様な光景だったと一軍選手は言う



いつも以上にさやにベタつく今吉に

「(ますます惹かれてもうたわさや)」



悶えたり今吉を睨みつけたり落ち込んでみたりの若松

「(2人は恋人同士なのかっ!?
…!…くっつくんじゃねーよ今吉さん!
でも、恋人同士なら普通、なのか…)」




急に来たと思ったら女性誌"特集 女性が喜ぶプレゼント"を読みふけり
たまにさやに雑誌を見せる監督

「(さやは何が喜ぶのだろうか)」



「「「(今日はなんなんだ…)」」」



(うざい…)



当の本人は知らん顔で
いつも通りにバスケに打ち込みミニゲームをやりたがっていた。




*********





そして IH 予選当日 ---------




一軍が皆予選に出払ってしまったので

さやは暇を持て余していた。


二軍の練習に加わる様に言われていたが

青峰達が予選に出ているのに
自分だけ二軍体育館とは、どうにもやる気が出ない。



「(わかっていた事だわ)」


それでも二軍体育館にも行く気にはなれず
授業までサボり、空いた屋上で寝転んでいた。


ブブッ ブブッ --------


連続してLINEが送られてくる。



"今日お前試合か?
俺の試合見に来いよ。さつきじゃろくなもん作らねー"


"さやっちー!今日は予選初日っすよー!
今日試合じゃなかったら応援来て欲しいっす!"



「大輝と涼太か…」



2人からの誘いは嬉しい
でも、行く気にも返事を返す気にもなれなかった。


試合がしたい

キセキの世代…そう言われる彼らと
戦ったら、私は初めて負けるのかな と淡い期待を抱く


ぼーっとスマホを眺めていたせいか
押したままの指が勝手に着信を取っていた。



「(あー、しまった。)」

「もしもし」

「はい。」




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