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リンゴ

第4章 今吉翔一






「なに黙ってんのー?
なんかしゃべってよー」

「なによそれ!
あ、そういえばこの前涼太と真太郎に会ったわ」

「…!……へえー」

「真太郎はあまり変わってなかったけど
涼太は少し変わったね。いい意味で」

「紅ちん、もういいよー」



むっとした紫原の声。

少し怒っている様だ。
お菓子を食べる音もいつしか止んでいる。



「敦?どうしたの?」

「……せっかく俺が電話してるのに
他の男の話ばっかりー…

俺だってー、紅ちんに会いたいのにー…」



小さな声で呟いた言葉に思わず胸をつかまれた。

あー、もうー
なんで紅ちん秋田にいないのー

なんてぶつぶつ言う敦を愛おしく感じる。



「紅ちん…?なんでしゃべらないのー?」

「ん、敦かわいいなって」

「…かわいくねーし」

「私、敦のそういう所が好き」

「っ……!!」



思わず詰まる紫原


さやは1度関係が深くなると
愛情表現がストレートで、いつも相手を照れさせる。


紅ちんー、離れても俺の事好きだってー
まだ言ってくれるんだー

飽きられちゃったかと思ったけどー

よかったー


紫原は赤い顔を激しくなる鼓動を
長い腕で抑えながら


「俺は紅ちんを愛しちゃってるけどねー」


と、なるべくいつも通りに聞こえる様にいった。







「じゃあまたね」

「ばいばーい」


しばらく雑談をかわして電話を切った。




敦に会えるとすればインターハイ。

私は出れないけど、敦は出るかな
出るよねきっと



紅ちんはインターハイでるのかなー

紅ちんの実力なら
でるに決まってるかー

そしたら少ししか会えない?

やだなー
でも、早く会いたいなー…



お互いを恋しく思う春の終わりの昼下がり






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