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リンゴ

第4章 今吉翔一






「なあ聞いてもええやろ」

「なんですか?」

「あれ、恋人のじゃないやんな」

「…俺に女装癖でもあると言いたいんですね?」

「そんな訳あるか!
…いつまでも誤魔化しがきくと思わんといてや」



今吉はするっと髪の間に手を滑らせる
探るように触ると

硬い金属の様な感触がした。



「…やっぱりな
これもウィッグやんなあ」



にやける顔が止まらない。


ぶっちゃけ自分がホモかもしれないと

先程まで疑っていたのに

それがこの状況。


あとはさやが自分に打ち明ければ
真っ当にアタック出来るし

秘密を揺すって一気に自分のものにするのもいいかもしれない。




「…私の事が知りたいですか?」



さやはとびきり楽しそうな顔で
今吉を見つめ、笑った。


いまさっきまで邪な事を考えていたのに

全て頭の中から消え去り


今吉は、さやの顔を食い入る様に見つめていた。


綺麗に弧を描いた唇にしゃぶりつきたい

他のものも目に入るその瞳に自分1人だけいれて

その細い指で、触って欲しい


今吉は気がつくとソファを降り
さやの手を取り、かしずいていた。



「あ、ワシ…なんで、こんな…」

「翔一さん、いいですね
凄くそそります。」

「あっ…」



さやは手を離し自分の髪に手をかけた

パチンパチンと金具を外し

ウィッグを髪から外す


長い髪がさらさらと零れ落ち
さやの肩に触れる

喉に貼り付けていたボイスチェンジャーも外し
机にコトリと置いた。



「これが答えです。
お気に入りましたか?」

「(これが本当のさやの声…
澄んだ声に色気が混ざって…どこまでも男を刺激しよる)」

「翔一さん?……翔一?」


「わ、悪いっ…ワシ今日はどうかしよるわ
もう、帰さしてもら」「待って」



立ち上がる今吉の腕を引き
ソファに座らせる







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