第2章 桐皇学園高校
「(いやいやいや!
ない!まじでない!あれは男!
確かに綺麗な顔してやがるとは思ってたけど
それでも男!あいつは男…くそっ)」
先の方を歩く紅林を見た。
男にしては華奢ではあるが
髪も女にしては有り得ないくらい短いし
声も高めだがきちんと男の声
ふとマネージャーに声をかけられ横をむく紅林
ドキン ---
「(っぁ……本当、なんだこれ)」
気持ちを否定しても
体の熱は思うように引かず
*
ミィーティング後
家に帰ったさやは燻る体の熱を解消する為
ストリートへ向かっていた。
途中何度か携帯が鳴る。
青峰だ。
電話に出るか迷って、やめた。
「大輝…ごめんね。」
今はまだ青峰と連絡を取る気はなかった。
毎日"さやどこにいる?"
"さや、会いてえ" と青峰らしからぬ連絡がくる。
女の姿で会ったところでバレる気はしないが
寮にでも連れ込まれたら厄介だ。
それに今は男よりバスケだ。
女子バスケよりパワーもスピードもある
男子バスケが楽しくて仕方なかった。
「…さや?」
声がして後ろを振り返ると
「真太郎…」
そこには今日のラッキーアイテムであろう
赤いバンダナを持った緑間がいた。
緑間は一瞬固まるとさやを見つめて
駆け出した。
「さや…会いたかったのだよ…」
ぎゅっと強く抱き締める緑間。
さやも応える様に、緑間の背中に手を回した。
「真太郎、私もよ…。」
今日も香る緑間の香りに包まれて
久しぶりに緑間のぬくもりを感じ
自分も意外とこの人達を求めていたのだと実感する。
暖かい気持ち。
しばらくの間に忘れてしまっていた。
「さや…さや…さや」
「真太郎…苦しい」
「っすまない…だが優しくするのだよ
だからもう少し…」
力が弱まり優しく包むように
さや体を抱き締めた。
ラッキーアイテムのバンダナもほおり投げ
さやを抱き締める緑間を見て
かなり寂しい思いをさせているのだと知った。