第2章 桐皇学園高校
練習試合当日
試合は相手高校、鳴成高校で行われる。
軽くアップも済ませ
全員やる気満々でマネージャー達も準備を進めていた。
「紅林さん、タオル置いておきます。」
「ああ。ありがとう。」
「ヘマすんじゃねーぞ」
あの後散々しごいてきた若松が
まだ納得いかないようでさやを睨みつけてくる。
「俺は、まだ体力面では若松さんらに
劣るかもしれません。
でもバスケまで弱いつもりはありませんから
ご心配なく。」
そう言い捨てた所で
「選手、整列して下さい。」
試合開始だ。
ジャンプボールは若松。
試合開始の笛が吹かれ、ボールが上がる。
若松、相手選手ともに飛び
余裕の高さでジャンプボールは若松が制した。
「っしゃあ!」
ボールは今吉の手に渡り
インサイド付近で、さやの手に渡った。
流石中堅高と言うべきか
ディフェンスも基本に忠実にしっかりしている。
(でもこれじゃあ私は抑えられないよ?)
プツッ --------
開始直後ではあるが
自分自身のスイッチが入ったのを感じた。
さやはドリブルをまずはゆっくり
段々
段々
早く、強くついていく。
(は、早いっ!なんだこれ
ボールが見えないっ…!)
相手選手が少し下がるのを感じたさやは
股下目掛けてボールを打ち付けた。
バーンッ
轟いた衝撃音は耳を抑えるほど大きく
ボールは高く舞い上がった。
((アリウープ!!))
「違う。アリウープなんてする訳ないでしょう」
高い軌道をえがきながら
ボールは、リングにかすりもせずゴールした。