第13章 試合と青峰大輝
「てめっ!青峰!」
「やっと来たか、全く
はよ準備して出てくれや」
青峰に駆け寄る桐皇
だが、青峰は面倒くさそうに
スコアボードを見つめた
「えー…つかボロ勝ちじゃん
もうこれ俺来た意味ねぇんじゃね?」
「そりゃさやが」「大輝」
「え、は?さや…?」
今吉の後ろから姿を現したさやに
青峰は目を見開く
今朝撫でたばかりの綺麗な長い髪は
短く切りそろえられ
声も別人かと思うくらい
低い男の声で
でもこの顔、この表情は
紛れもなくさやだ
「は…?お前何してんだ!?
桐皇のユニフォーム着て…やがるし…
….何がどうなってんだ」
「そんな事はいいのよ
約束守ってえらいわ大輝
さあ、貴方のバスケで…潰してきて」
青峰は背筋がゾクリと震え上がるのを感じた
久しぶりに見る"女帝"の顔
(この為に試合に遅れて行って欲しいなんて
変なお願いされた訳だな…
まあいい。
久しぶりに女帝様の駒として
キッチリ働かせて貰おうじゃねぇの)
さやに勝利を
掲げた思いは変わらない
「へーへー
わかったから、そこでよく見とけよ」
「無様なマネは許さないわよ
大輝が最強なのだから」
にこりと笑うさやは
そっと青峰の頬にキスを落とした
選手交代
ここからが本番だ
さやは あ、と何かを思い出したように
今吉に駆け寄よると
忘れ物と言って微笑み、優しく銀の眼鏡を取った
「翔一、さっきのとてもよかった
ますます貴方に惹かれてちゃう…
愛してるわ…頑張って」
「んんっ…!?」
今吉の頭を引き寄せると
唇に濃厚なキスを送るさや
いきなりの強い熱に面食らう今吉だったが
それでもしっかりとそのキスを受け止め
さやの腰に手を回した