第13章 試合と青峰大輝
遊ばれている、完全に
(僕がいる事なんて
既にさやさんの頭の中には無いかもしれない)
誠凛ボールで再開される
黒子がボールを受け取り構える
サイクロンパスからの速攻なら
いくらさやさんでも止めようがない
ぐるりと旋回しロングパスを繰り出す
「っ…!またあれかよっ!」
「速攻や!」
「翔一、若松は戻らなくていい
テツヤ甘いわよ
それくらい私が取れないとでも?」
さやはパスコースど真ん中に入り
体の中心で強烈なサイクロンパスを受け止めた
受け止めた左手にビリビリと痛みが走る
「痛いわね」
「っ…あ…すいませ」
「テツヤ貴方は私には勝てない
私の駒にもなれない
見てなさい私の駒達を」
さやはドリブルで自陣ゴールへ向かっていく
黒子のサイクロンパスを信じた誠凛は
もう殆どが反対ゴール下だ
急いで走る火神の元に
行かせないとばかりに諏佐がディフェンスに入る
さやに言われ3Pライン手前で残った
今吉と若松が目を見合わせ、低く構えた
「若松っタイミング合わせいっ!」
「っはい!」
2人が両手を重ねる様に突き出し、それを横に並べた
また何かやるつもりだ
これ以上は、心が折れてしまう
焦った黒子が走り出す
火神も諏佐を振り切りさやに追いつくが
さやはもう2人の目の前
しっかりとボールを掴むと
2人の手の平を思いっ切り踏みつけた
「どっせぇっっい!!」
「っらぁ!」
2人がさやを持ち上げるように
高く腕を上げる
その勢いに乗りさやはゴールへ飛ばされていく
「「「(エ、エアウォーク!?)」」」
「っ!させるか!」
火神がゴール下へ走り必死に飛び上がる
が、2人にぶちあげられたさやの勢いは止まらない
「おーりゃっ!」
ガシャンッ
さやは
ゴールにボールを叩きつけ、笑った
今度は失敗しない
すとんと足から着地する
唖然とする黒子に冷めた目で見返す
「強い駒でしょう?
私をこんなに楽しませる
こんなお遊びも止められないようじゃ
大輝に勝つなんて何年かかっても無理よ」