第13章 試合と青峰大輝
「う、わっ…と」
衝撃でバランスを崩したさやが
下へ落ちると
それにいち早く気付いた若松が
難なく受け止める
「あっぶねえ!飛びすぎなんだよ馬鹿!」
「若松…すっげぇ楽しかった!
初めてこんな事公式戦でした!
楽しい!楽しい!楽しい!」
「そりゃよーござんしたね」
きゃはきゃはとはしゃぐさやに
ため息を吐きながら答える若松
あれは疲れるのだ
中腰で飛び上がるから
背中を踏まれるのも屈辱的だし
そんな若松の心中も知らずに
さやは思いついたような顔をして
妖艶に笑った
「そうね…
ご褒美あげなきゃ若松に」
「は?…ちょ、ま、…んんっ!?」
試合中だというのに近付いてくる顔
姫抱きのような体制の若松に
さやの腕が絡まる
ちゅっと唇が触れて、ぺろりと舐められた
突然の出来事に固まる若松
「さあ次だ次ー!」
「「「(なんなんだこのチーム…)」」」
いきなりいちゃつきだす若松とさやに
唖然とするしかない誠凛
それにあんな無茶苦茶なプレー
もう次、何されるか予想がつかない
「(精神的にクルぞ。これは)」
日向や黒子火神の様子を伺う伊月
明らかにチームの勢いが削がれている
さやが居るだけで、雑念になる
さやのプレーを止められない
-------- 独壇場だ
「はああ!?
お前っなにさやとちゅーしてんねん!」
「えっいやっこいつが勝手にっ!」
「っっー!!
さや!ワシもやったるから
後でちゃんと消毒させぇ!」
「ふふっ…いいわよ
燃えてきたわね…!」
声を荒らげる今吉を飄々とかわし
にやりと笑うさや
黒子はそんなさやを見てギリッと歯を噛み締めた