第13章 試合と青峰大輝
一方誠凛ベンチでは
「ねぇ結局さやちゃんは
男なの?女なの?」
お馬鹿な小金井が犬のような目で
黒子に尋ねていた
それいま聞く事かよと日向や火神は
呆れていたが、黒子は何ともなしに「女性です」
と答えていた
「今はそれよりさやさん攻略です
さやが男子に混ざる時の
唯一の弱点は身長です
…ですがさやさんは
それをも武器にして戦ってくる
正直どうしたらいいかわかりません」
黒子は思い悩むようにんーっと顎に手をやった
リコも第1クオーター
さやの観察を続けてはいたが
特にこれと言った弱点は見当たらなかった
「ディフェンスできねえなら
いつも通りそれより点取るしかねえだろ!です」
「そうね…
現状それしか手はないわ
ただ今のところそれすら上手く行ってない
身長が弱点ならインサイド勝負よ!
火神くんのダンクでガンガン攻めて行きましょう!」
「「「おう!」」」
「監督、今のさやさんは
クラッチタイムに入ってます
第2クオーターもっと厳しいものになってくると思います」
そう言う黒子は諦めた目をしていなかった
だから皆で頑張りましょうって事かしら?
全くこれから青峰くんも来るってのに
何処までも諦めの悪い子達ね…!
「取られた点は取り返す!
勝つわよ!」
*
ビーーッ
試合再開の合図が鳴り響いた
誠凛メンバーは
さやに奪われた心を振り切るように
自陣ゴール付近に走り出した
誠凛ボールでスタート
勝つ為には
この場を取られてはならない
わかっていても気が付けば
さやの姿を、皆目で追っていた
「っ…1本入れていくぞ!
集中力切らすなよ!」
審判からボールが渡り
伊月が冷静にドリブルをしながら
パスコースを探っていく
さやには火神がべったりくっついている
インサイドを狙うなら
ここは俺が切り込んで行くしかないっ
勢いよくボールをつき
中へと切りこもうとする伊月