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リンゴ

第12章 黒子テツヤと試合







「ったく…紅林め」




「あの、青峰はいないんすか?」



ブツブツ言いながらボールを拾う若松に
火神が声をかける

さやはちらりとその様子に目をやった



「遅刻だよ、あの自己中野郎」


「え…!」


「すまんのぉ…
アイツおらんとうちも困るんやけど
後半あたりには来るて

うちらまあ、前座や。お手やわらかに頼むわ」




話に割って入った今吉が火神にそう声をかけた

驚く火神をよそに
自分のチームの方を見る今吉


一際小さい背中がいつも以上にキレのあるシュートを入れる


それを見てぽつりと今吉は言葉を漏らした




「まあ、あいつが入った時点で
前座ではなくなってまったかもしれんけど」


「え、今なんて…?」


「いやーなんでも」「翔一さん言ってくれますね?」



なんでもないそう言いかけた今吉の後ろから

いつもの妖艶な笑みを浮かべて顔を覗かせるさや




「んなっ!?…さや…か!?」


「なんやアップはもうええんか」


「はい、大丈夫です

この前ぶりだな大我」


「えっ!?さやちゃん?」
「うっそ…だってあの子…」
「さやさん…」



火神の声に釣られてさやを見た誠凛メンバーが
ざわざわとざわめきだす


そこにいるのは
桐皇のユニフォームを着て

妖艶な笑みで笑う選手


皆で笑った時の柔らかい雰囲気は、ない



さやは笑みを崩さないまま
火神を見上げた



「前座なんて失礼な事思わない方がいいよ

大輝が来る前に誠凛は俺が潰す

"女帝紅林"に勝てると思ったら大間違いだ」


「女帝紅林…あ…!
あれが、お前なのか…!?」


「さやさん
貴女が出るんですか…?」



何かに気付いた火神は驚いてさやを見る

華奢な体に女子にしては高い方の身長

腕なんか筋肉がないように見えるのに


コイツが"女帝紅林"…!


黒子が切なそうな顔をしてさやの方へ
ゆっくりと歩いてくる



「テツヤの想いを聞いて
俺が出ないなんて、そんな失礼な事出来ないだろ?

俺を変えたきゃ俺を倒してみせろ

それだけの事だ」








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