第2章 桐皇学園高校
桐皇の練習は予想以上にハードで
今まで真面目に練習を続けていたものの
それは、女子バスケ。
男子の体力に合わせたメニューは
明らかにオーバーワーク。
「(だめだ…1歩も歩けない)」
「おいっ!1年坊!
だらっとしてんじゃねえ!シャキッとしろ!」
ガクガクと震える足を抑え
思わずコートの端で座り込んでいると
ぬっと現れた若松が覗き込む様にして怒鳴りつけてきた。
さやはいきなり寄ってくる若松に
思わず顔をしかめる。
汗がぽたぽたたれてくるし
暑苦しいし
なにより、うるさい。
「若松先輩、暑苦しいです。」
「んなあっ!?」
「座り込んですみませんでした。
すぐモップします。」
唖然として
口をパクパクと動かしている若松を一瞥すると
もう明らかに限界の足を無理やり動かし
モップをかけている一軍マネージャー達の元に走り
恐縮するマネージャー達をよそにさやはモップをかけ始めた。
「若松ー、言われてもーたな」
「1年のくせにい…!」
ギリギリと歯ぎしりしる若松に
後ろから見ていた様で笑いかける今吉。
若松の視線の先には
ふらふらしながらもモップをかけ続けるさや
「(まあ悪い奴ではねーみたいだが
気に食わねーぜまじで)」
1年が来る日でもねーのに
いきなり来て、いきなり練習始めて
の割には体力はねーし
それに練習メニューでやったミニバス
紅林がいたチームは20点差以上つけて勝ちやがって
今吉さんもアイツの練習を見て
完全に見る目が変わっていた。
「(くそ!なんだってんだ!
なんもかんも、気に食わねーよ)」
今吉はふらふらのさやを見ると
モップを取り上げ、何か話しているようだった。
大方早く帰るように言っているんだろう
そんな風に今吉さんに気を使わせる所も
まったくもって気に入らない