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リンゴ

第12章 黒子テツヤと試合







それからさやは黒子と別れ

桐皇学園に戻っていた



最後に交わした黒子との会話を思い出しながら








「聞いてください」


「ん…?」


「さやさんが強い事にこだわっているのは
"女帝紅林" の期待に応える為…ですよね」


「……。」


「当時僕はさやさんの傍にいなかった
だから何があったのかはわかりません


何故そんな風に笑うのかも


青峰くん達が言ってました

ある事がある前
虹村さんと付き合っていた頃のさやさんは
いつも幸せそうだったと」


「っ……」


「今まで言えませんでした…けど
僕は僕の力で貴女を幸せだった貴女に戻したい

変えてみせます

皆も、貴女も」











黒子とは長いとは言えなくても

短くない付き合いのつもりだ


肌を触れ合い

同じ時間を過ごして来た




(いつからそう思っていたんだろう

そんな風に思っていたなんて気付かなかった

…認めたくなかっただけかも知れない…)




次はー、△△駅ー



窓の外の景色が緩やかに流れていく

もうすぐ最寄り駅だ


流れる景色を眺め、気持ちを落ち着かせていく


テツヤが何を言っても

それがどんなに確信に近い事だとしても


結局、強い事が全てなのよ



"女帝 紅林" がそれ以外を認める訳にはいかない



強いから勝つ

強いから私の手駒になれるのよ




ゆっくりと電車が駅に着く
ドアが開き、ちらほらと人が降りていく

さやも周りの人と同じ様に
ゆっくりと電車を降りた





…テツヤが本気で桐皇を倒しにくるのなら


私も覚悟を決めなくちゃいけない


最初で最後の力試しだ





さやは妖艶な笑みで笑うと

スマホを取り出しある番号に電話をかけた



「もしもし、大輝?
今何処にいるの?」







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