第11章 過去とプール練
「あー、えっと…なんか込み入ってるみたいだし
今日の練習はここまで!各自着替えて解散!」
「「「お疲れ様でしたー」」」
「リコさんすいません」
「いいのよ、さやちゃんの為だもの
またいつでも遊びにきてね?」
リコの合図で皆更衣室に下がっていった
気を使わせて申し訳なかったなと思ったが
リコがいいと言うのだからその好意に甘える事にした
火神や日向はさやの頭をくしゃりと撫でて
またなと声を掛けて皆と同じように更衣室へ着替えにいった
「桃井さんは青峰君と一緒の学校ですよね?」
ベンチに座り、少し話す事にした3人
黒子が桃井を見つめ唐突にそう言った
桃井の顔が陰る
「うん。テツ君と一緒の学校に行きたかったのは本当だよ?
けど、アイツほっとくと何しでかすか分かんないから、さ…」
「大輝…。強くなったわ、変わってから」
昔を思い出すようにさやは
遠くを見つめた
2人が1番皆の"開花"を心苦しく思っているのを知っていた
それでも2人がさやを責めた事は1度もない
もし、責められてなじられたとしても
さやは自分を変えられない
結局、強くいる事が全てなのだ
私にとっては。
「そう、ですね…。
強くはなりました青峰君も、皆も。
……。次会うとすれば…」
「決勝…
だから次会うときは違うベンチだね」
桃井はそう言うとさやにちらりと目配せをした
それが何を意味しているのか
さやは苦笑いを返すしかなかった
(一体桃井はどこまで知っているのよ…)
「………。」
「あとビデオでミドリンとの試合見たよ
すごい良い試合だったし…
火神君…昔のアイツにそっくりだね」
「はい…。」
昔の話をするとどうしても暗くなってしまうのか
2人の表情は陰り
さやもまた昔を少し思い出していた