第11章 過去とプール練
ブーブーブーブー
部屋に帰りベットに寝転んでいると
携帯の着信音が鳴った
表示を見ると "桃井"
嫌な予感がしたが出ないよりはマシかと思い
応答のボタンをスライドする
「はい、もしもし」
「あー!さやー?
久しぶりー?元気してたー!?」
「桃井…声が大きいわよ」
「えへへー!
ところでさや明日ひまー?
一緒に誠凛行かなーい?」
桃井の声の大きさに顔を顰めていると
何故か誠凛に誘われる
テツヤに会いに行く…のかしら
でもどうして私も?
桃井1人で行った方がテツヤと話せるはずなのに
「いいけど…どうして?
私とテツヤの関係はわかっているでしょう?」
「それはそうなんだけどっ
さやにも会いたいし、負けないから!」
相変わらずの桃井に笑みを零す
テツヤと私の気持ちを察していても
めげずにアタックする桃井が羨ましい
私はそんな事出来ないから
「わかったわ
じゃあ明日誠凛で待ち合わせね」
「ありがとうー!
あ、プール練らしいから水着持ってきてね?
じゃあまた明日ねー!」
「え?ちょっと桃井」
プープープー
抗議の声は桃井に届かず
さやは仕方ないとため息をついた
学校指定のスクール水着で行く訳にも行かないし
プライベート用の水着引っ張り出すか…
今年は着ることの無いと思っていた水着
なんだか少し楽しみになって
さやは足取り軽くクローゼットの中を探り出した
*
そして次の日
校門前で待ち合わせたさやと桃井
家に帰ってからきたさやは桃井よりも遅れていて
電車に乗っている最中から
ひっきりなしにLINEが届いていた
「桃井、ごめんなさい
遅くなったわ」
「さやー!久しぶり!
待ってたんだからね!もうー」
ぷりぷりと女の子らしく怒る桃井の頭を優しく撫でれば
桃井は嬉しそうに笑って許してくれた
改めて再会の挨拶をし
今は桃井情報を頼りにプールへ向かっている
ちなみにきちんと許可をとって校内を散策しているので
警備員にバッタリ会って摘み出される
なんて事は起きない