第2章 桐皇学園高校
「…おいっ紅林?聞いてる?」
「ん?ああごめん
何か言ったか?」
「なんだよどうしたんだよー
だから部活入んのかって話!
もし決まってねーなら、一緒にサッカーどうよ?」
女の子にもモテるかもよと
にたにた笑うその感じはまさに男子高校生だ
さやはフッと笑いかけると
そのクラスメイトに乗っかる様に
「この学校でそれを狙うなら
バスケ部だろ。結構強いらしいじゃん。
それに悪い。
俺、バスケのスポーツ推薦なんだ。」
「なーんだお前と一緒にやったら
楽しそうだったのにな!
じゃあ俺サッカー部の見学行くから!
また明日なー!」
走り去って行くクラスメイトの姿を見送って
自分も体育館へ向かった。
*
体育館へ着いたはいいが
中は静まり返り、まだ誰も来ていない様だった。
それもそうかとスポーツバックを端の方に投げ捨て
ブレザーとネクタイをその上に放る。
先輩方はまだHRのはずだし
スポーツ推薦の人達も今日は来る必要はなかったはずだ
バッシュに履き替え
隅の方に置いてあったボールで軽くアップを始める。
軽くドリブルから始め
レイアップ
ダブルクラッチ
3Pシュート
など軽く体が温まる程度にこなしていく。
「あれー?もう誰か来よるわ」
ぞろぞろと何人かの声が聞こえてきた
きっと一軍の選手達だろう
ここは一軍の体育館のはずだから。
とりあえず練習をやめて軽く汗を拭い
失礼のないよう身なりを正す。
「あ?誰だコイツ
今吉さん、なんか知らない奴いますよ」
「ほんまや。おたく誰?」
眼鏡をかけた好青年風の男と
厳つそうな声の大きい男が1番のりで入ってきた。
声の大きい男はかなり怪訝そう
むしろ睨みつけてくる様で
眼鏡の男は驚いた顔をしつつ
ポーカーフェイスは崩れない。