第2章 桐皇学園高校
それに伴い
2種類の制服や、男子高校生に見えるよう
工夫を凝らした品々の用意
最後には
「もし君さえ良ければ
私の事も君に差し出しましょう」
なんて唐突に言うものだから
さすがのさやも少し驚いて
保留にしてもらった。
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「(便利な監督さんでよかったわ。
高校生活が楽しみね。)」
新入生で溢れる校門をくぐった。
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入学式も終わり
クラス発表と担任挨拶を済ませ
今日は授業もなく淡々と終わった。
喉元に皮膚と同化するようにつけられている
ボイスチェンジャーのおかげもあって
疑われることもなく、一安心。
「お前紅林だよな?
なんつーかすげー美形だな!」
「そうか?
それはどうも。」
「慣れてんなー
そういえば紅林は何か部活入んのか?
俺はサッカー部に入る予定なんだけどさー」
教室で声をかけられた
クラスメイトらしい男と並んで歩く。
馴れ馴れしいこの男は
常に顔に笑みを浮かべ言葉の端々にwを付けている様だ。
「(なんか涼太に似てるなー。)」
卒業式直前に仲直りした
黄瀬を思い出す。
最後に会った時には
"もうこれ以上他に男は作らないでくださいっス!"
なんて泣きそうになっていたっけ
私が気に入って自分の男にするなんて
稀なこと。そんな事涼太だってわかっているはずだ。
来るもの選び、去るもの追わず
私の座右の銘だ。
「(涼太に、会いたいな…)」