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リンゴ

第11章 過去とプール練







「おいさや食いもんくれ!」


「ないわよ。紫原に貰えば?」


「あいつが俺にくれる訳ねぇじゃん!

あ、そう言えば明日ストリート来るだろ?」


「ええ、行くつもりよ」



休憩時間になり
ぞろぞろと他のメンバーもドリンクを受け取り
体育館の隅にに倒れ込む

カラフル1年組はドリンクを受け取ると

それが当然のようにさやの周りに集まり出した




「紅ちんーお菓子持ってないー?」


「紫原、お前はいつも食べ過ぎなのだよ」


「お腹が空いたの?
クッキーならあるわよ。今日調理実習で作ったの」


「わーい紅ちん大好きー」


「はぁ!?
お前さっき俺にはないって言ったじゃねぇーか!」


「言い間違えたわ
紫原の分しかない、のよ」




ギャーギャーと騒ぐ青峰をスルーして
さやは美味しそうにクッキーを頬張る紫原を見つめた

側にいた赤司は微笑みながら
さやの頭をポンと撫でる



「さや、紫原を余り甘やかしてはいけないよ」


「いいのよ。
紫原って猫みたいで可愛いじゃない」


「赤司の言う通りなのだよ
さやお前はもう少し厳しくなるべきだ」


「そうだそうだ!
おらっ紫原よこしやがれ!」


「やーだよー」




「…私がいいと言ったらいいのよ」




さやはまたあの妖しげな顔で笑う

赤司と緑間は恍惚の表情でさやを見つめ
自然とかしずき

紫原からクッキーを奪おうと騒いでいた青峰さえ
その表情に見とれ

紫原はクッキーをポロリと落とした




「…赤司、緑間」


「っ…!お、俺は何を…」


「っさや…」


「いい子ね二人とも」



さやはポーカーフェイスでそう言うが

赤司達には寂しそうに、苦しそうに見えた



周りの変化についていけなかった

何故こんな風になってしまうのだろう

私が変わってしまったから、なの?



さやの赤司達に向けられた
その笑顔に魅力されたのは

近くにいた赤司達だけではなかった。







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