第10章 笠松幸男
手際よく片付けもこなしながら
ハンバーグを捏ね、焼いていく
笠松はリビングのテレビをつけ
チラチラとこちらを気にしながら
料理の完成を待っている
慣れないのだろう
手伝った方がいいのか、何もしない方がいいのか
考えあぐねている様だ
「あっ…お皿どこだろう」
「さ、皿な!ここにあるから!」
ぽつりと呟いた言葉にすぐさま反応して
笠松は引き出しの一番下から二人分白いお皿をだした。
さやは笑って受け取ると
綺麗に見えるように優しくハンバーグをお皿に乗せる
人参のグラッセも乗せてハンバーグは完成
「サラダとスープのお皿もお願い出来ますか?」
さやがそう言うと
笠松は慌てて引き出しを探りさやに手渡した
サラダを盛り、スープもよそった
あとはご飯をよそってお終いだなと
炊飯器を振り返ると気を利かせた笠松が
二人分ご飯をよそってくれていた
「笠松さんありがとうございます」
「いーから運んどけ」
つんとしながらも優しくしてくれる笠松に
心の中が暖かくなる
夫婦ってこんな感じかな
よく知らない家庭図に戸惑いつつ
自分がいまその一員である事がくすぐったい
「じゃあ食べるか」
「はい。」
「「いただきます」」
きちんと手を合わせ箸をつける
ハンバーグはいい感じにふっくらして
絡めたデミグラスソースが上手く出来たと思う
どうかな…
笠松をこっそり見つめていると
「…すげーうめぇな」
「ありがとうございます」
満面の笑みで言ってもらったので自分も安心して食べ進める
笠松はその後も美味い美味いと
呟きながらきっちり全てを完食してくれた