第2章 桐皇学園高校
一体これは何だと言うの?
何故こんな異質な空間に
1人取り残されなければいけないのか
さやは内心憤りを感じながら
妖艶な笑みを崩さず、相手の出方を待った。
「噂には聞いていたがこれ程までの美人とはね
正直頭がクラクラしてしまいそうです」
「……お褒めにあずかり光栄です。
それで、本日はどの様なご要件でしょうか?」
にこりともせず下手な口説き文句を口にする
原澤にさっさと話を進めるよう促す
「我が校の男子バスケ部はご存知でしょうか
最近は好成績を上げているのですが」
「はい、存じ上げております。」
「ありがとう
実はうちには女子バスケ部もありまして
最近は特に優秀な選手を引き入れていて
是非、君にも我が校に入学して貰いたいと
お誘いに参った次第です」
はあ….と心の中でため息をついた。
なんだただの勧誘か。
こんなもの書面か電話で済んだ事だろうに。
「君が入学してくれるのであれば
うちはどんな支援も惜しまないと約束しましょう」
その言葉にさやはピクリと反応した。
利己的主義者のさや
自分に利がありそうなものを見過ごす訳はなかった。
「どんな支援でも…?
例えば、何でしょう?
ありきたりな条件では、私は満足しませんよ….?」
妖しく美しくにやりと笑うその顔に
原澤は思わずぞくりと体を震わせた。
その目を向けられると
今にも跪き、縋りたくなるこの気持ちは
この女がさせているのか
圧倒的なまでの求心力に
この女を手に入れたいと改めて強く感じた
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原澤が提示した特別入学生の条件は
学費免除
近くに住むためのアパート代
バスケに必要な用品の支給
それに、さやの提示した
"初めの半年は男子高校生として入学し
男子バスケ部で試合に出す"
これの許容だった。