第9章 日向順平
「でも、かなり注目の的よ?
皆いい体してるからかしらね」
くすくすと笑うさやに顔を赤くする面々
確かに周りを見るとキャアキャア言いながら
遠回しに見ている女が多数いた
それよりもさやに体を褒められたのが
嬉しい様な恥ずかしい様な
さやは緑間の方に寄ると
タオルをとり屈ませるようにしながら
緑間の綺麗な髪を拭いて行った
「真太郎…あなたの体が見られているのは
私、嫌だわ。服着て?」
「(さやが嫉妬…)
っああ、すまない。俺の全てはお前のものだ」
「それでいいのよ
あなたの体を見ていいのは私だけ」
緑間はさやの手が離れると
まだ濡れているTシャツを着た
ぺったりと肌につくのが鬱陶しいが仕方ない
「さやちゃん乾いたらどれ行くー?」
「そうね、和成はどれがいい?」
「やっぱり絶叫系は制覇っしょ!
あとはお化け屋敷!」
緑間の髪を拭き終わったさやに
高尾がベンチに座らせMAPを広げる
お化け屋敷と言われた火神、黒子が肩をビクッと震わせる
事前に何をやらせるのかわかっているからだ
「お化け屋敷、ねぇ…
いいわね。有名だものねここの」
「そうなんだよね!
さやちゃんお化け屋敷平気系?」
「………。」
ポーカーフェイスで黙り込むさや
実はお化けとかの類が大の苦手
完全無欠に見えるさやの唯一の弱点と言ってもいい程だった
黒子と火神の目がキランと光るのを感じたさや
高尾を盾にして後ろに逃げ込む
「さやさん、初めて聞きましたそんな事」
「さやは自分が怖ぇから
俺達だけで行かせようとしてた訳だな」
じりじりとにじり寄る2人に冷や汗が止まらないさや
高尾に助けを求めるようにぎゅっと袖を掴む