第9章 日向順平
さやの妖しく黒い笑みが
男達を戦慄させる。
さやはずいっと緑間達に手を差し出した
「真太郎以外、全員携帯を出しなさい」
うむを言わさないさやの声色に
はいっ!と元気よく返事をした火神、黒子、高尾は
さやの小さい手のひらに携帯を置いていく
さやは全ての携帯を操作し終えると
順に返して行った
「私の連絡先、消したわ」
「「「えっ!?」」」
「そ、そんな…さやちゃんっ」
「さやさん…あんまりです」
「わ、悪かったって!本当謝るから!」
縋り付く男達を意にも返さないさや
冷めた目で睨みつけながら
今度は緑間の方へ向き直った
「真太郎、あなたは私の方で拒否するわ
しばらく2人で会うことはない、いいわね?」
「ぐっ…悪かったのだよ
俺が間違っていた…捨てないでくれ…」
どうしようもない不安に駆られる緑間
こんな事は初めてだった
まずこんな風にさやをつけたこともない
こういう事をするのは大抵青峰で
青峰は上手くかわしてさやに捨てられるような事も
関われないなんていう制裁をくらった事もない
やはり俺には無理だったのだ
嫉妬かられ、馬鹿な事をした…
さやに別れを告げられても…おかしくはない
「何言ってるの真太郎
あなたが好きよ。捨てないわ」
ふわりと笑ったさやは
もう冷たい目をしておらず、黒い笑みでもない
緑間は安心した様にさやを見つめた
*
と ここまでが回想
結局6人で遊園地に入る事になったさや達は
先に昼食をとり
順々にアトラクションを回っていく事になった
そして冒頭に戻る
「絶叫系ならあれとかよさそうじゃね?」
「あれってめっちゃ水かかるやつ!?
いいねぇー!わかってんじゃん火神ー!」
火神が指さしたのは高さ30メートルから
水しぶきをあげながら滑り落ちる
某ランドのス〇ラシュマウン〇ン的な奴だ