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リンゴ

第9章 日向順平






さやは完璧だ

理想通りと言っても過言ではない

いつもよりめかしこんでくれた
俺の為に


アップに纏められた髪や
いつもはしていないメイクがそれを物語っている


なのに…



「なんでお前らがここに居るんだよっ!」


「「日向先輩の邪魔をしに」」


「…後で覚えとけよバカ神陰キャ」


「バカ神!?」


「陰キャ…」





「順平さんごめんなさい。私が悪いの…
馬鹿共を振り切れなかったから…」



しゅんとしながら日向の手を小さく握るさや

これを見て悪く言える男がいるだろうか
いや、いないはずだ!


日向はさやの頬をそっと撫でる
さやはしゅんとしながも日向を見上げる


さやの上目遣い…




「ぐっはっ!」


「「(クリティカルヒット…)」」


「い、いいんださや
俺はお前がいれば満足だから…」




鼻血を出しながらそう言う日向に
最早苦笑いしか出ない火神、黒子

さやはにこっと笑うと日向の耳元で囁いた



「ちゃんと2人の時間、作りますから

その時また私に触れてくださいね」


「っつ…!!」



顔を真っ赤にした日向は
赤くなった顔を見られないように口元を押さえた

さやは妖しい笑みを浮かべながら
ぎゅっと日向の手を握った




それから何だかんだありつつ
火神提案の遊園地へ到着した

土日だからか人は多いし、はぐれそうだ


とりあえず招待券をチケットと交換する為
既に大勢並んでいる列に参加する


人混みで見るとさやは余計に小さくて


ぎゅっとさやの手を握り締める

さやは嬉しそうに日向を見上げた



「ちょ、さやちゃん達見つめ合ってるよ!」


「馬鹿め!そんな事、そう易々と…あー!!」



なんだか後ろの方が騒がしい
しかも何か聞き覚えがある声だ

心無しかさやの顔が黒い





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