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リンゴ

第9章 日向順平







「なんで…こうなった」



ざわざわとざわめく人混みの中
日向は悲しみに暮れていた



さやとデートのはずだった

もちろんふたりっきりの、はずだった…!


なのに前には火神、黒子、緑間、高尾

カラフル軍団が何故か言い争いをしながら
先陣を切って歩いている

せめてもの救いは
さやが手を繋いで隣を歩いてくれている事か


緑間は自分が彼氏なのだよと言いたげに
憎々しく振り返ってくる



「順平さん次何乗ります?」


「絶叫系、かな
さや乗れるか?」


「はい、好きですよ」



いつもの様に男を惹き付ける笑みで笑うさや
唯一の癒しだ…。

本当になんでこんな事に…






遡ること 2時間前



日向はそわそわしながら
待ち合わせの駅で待っていた

予定の15分前
流石に早く来すぎたかと思いながらも


髪をいじってみたり
駅ビルのショーウィンドウにうつる自分の姿を見て
やっぱり違う服にすればよかったかなんて

気にしていたら時間はもうすぐで



「(さや…どんな格好でくんのかな
で、デートだし、少しは気にしてくれたり…)」



いつも可愛いさやが
自分の為により気合いを入れてくれていたら…

妄想が止まらない日向は
終始にやにやと顔を綻ばせていた




「順平さんお待たせ」



愛しい人の声が聞こえる
でれでれの顔もそのままに日向は

声のする方を振り返った



「全然待って……ねぇよ!?」


「こんにちは日向先輩」


「ちーすっ」



可愛い可愛いさやの後ろには
ぬっと大きな火神と隠れるように黒子がいた

さやは紺色の上が総レースの
綺麗なワンピースを着ていて

ノースリーブの腕が真っ白でつい触りたくなってしまいそう

少しメイクもしているのだろうか

艶々の唇にキスをしたくなる







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