第9章 日向順平
「むぐむぐ…それで、何の用よ」
「もっしゃもっしゃ…キャプテンとデート行くんだろ?」
「ぱくっ…ええ、そうよ」
平然と食事を始める2人に
黒子はため息をつきながらいただきますと手を合わせた
メニューは
野菜たっぷりのオムレツとサラダ
冷製コーンスープだ
火神のオムレツだけかなり大きい
自分と周りの食べる量の違いをきちんと弁えているようだ
「ぱくっ…デートの邪魔をしにきました」
「もぐもぐ…へぇ、いい度胸ね」
食べる手を止め妖しく笑うさや
機嫌を損ねてしまった様だ
正面の黒子は冷や汗をダラダラと流しながら
必死に言い訳を探す
火神にはさやの顔が見えていないせいか
ん? と不思議そうな顔をする
「私の邪魔をする事が許されると思うの?テツヤ」
「お、思いません…」
「ならわかってるわよね?」
「つれねーな、いいじゃねぇか混ぜてくれよ
ほら土産もあるんだぜ?」
火神はごそごそと鞄を探るとチケットを取り出した
そこには
"遊園地ご招待券 4名様"
と、書かれていた
「ふーん…随分準備がいいのね大我」
「いや前から持ってたんだけど
いっつも部活で使う機会もねぇし、たまにはな」
「さやさん…一緒に行きたいです」
黒子が震える子犬の様な顔でさやを見つめた
さやは少し考え、にやりと笑った
「いいわ、ただし条件があるの」
「なんですか?」
「3人だけでこの遊園のお化け屋敷に入りなさい」
「「え、」」
「楽しみねー!さあ準備、準備!」
唖然とする火神、黒子を放置して
さやはるんるんと音符がつきそうな勢いで
食器を下げ、寝室へ入っていった。
この遊園地、お化け屋敷が大変人気で
お化け屋敷の暗黙のルール
お客様に触れない事をガンガン破っていくスタイルで有名だ
「男3人でお化け屋敷…なんの罰ゲームですか」
「た、た、た、大したことねぇよよよ!」
「火神くん…」