第9章 日向順平
「おおー…意外と広いな」
「ふああ…で、何の用なの?」
さやはソファにもたれながら欠伸をもらす
今日はゆっくり寝られるはずだったのに
こんな事になるなんて…
黒子と火神はあちこち部屋を見て回る
「寝室にはいかないで。
と言うより本当に何の用なのよ」
「さやー朝飯作っていい?」
「…どうぞ」
「さやさんこれ何ですか?」
「…真太郎達からのプレゼントよ」
この2人まったく話を聞いていない
仕方ない2度寝しよう と
ソファにごろりと横になり目を瞑った
まだ寝ぼけていたせいか、すぐに睡魔が襲ってくる
トントントンとキッチンから火神の料理する音が聞こえ
頭の辺りに心地よい温もりが
さやを包むように触れる
気持ちが良くてさやはすうすうと寝息を立てた
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「…い、さや!おいっ!」
「ふぁい…」
再び目を覚ますと
目の前にはどこから出したのかエプロン姿の火神
もぞもぞと寝返りをうつと
細身の筋肉質なお腹に顔がぶつかった
ん? と思い上を見上げると
黒子がこちらをいい笑顔で見つめていた
ああ…膝枕…されてるのね私
ぎゅっとお腹にしがみつけば
小さな手がさやの髪を梳くように撫でる
「さやさん火神くんがご飯作ってくれましたよ」
「…テツヤ…もうちょっと…」
「甘えん坊ですね」
黒子の温もりを感じながら、擦り寄るさや
それをイライラした様子で睨みつける火神は
黒子の方を向いているさやを、ガバッと強奪した。
「イチャついてんじゃねーよ」
「もう、大我ってば…」
文句を言うさやを気にもとめず
火神は机の傍に胡座をかいてその上にさやを乗せた
それを見た黒子は目を真ん丸にして驚いている
いつもの火神からはそんな事をする様に見えないのに
火神はさやを乗せたまま
律儀にいただきます と手を合わせている