第2章 身代わり
「密花………!」
スタジオに入るとすぐ、年若いモデルが抱きついてきた。
「ルビー………! ど、どうしたの」
「どうしたの、じゃないし!
三週間も連絡しないで、アタシ心配したんだからっ」
「ご、ごめんなさい」
そっと頼りない背に腕をかける。
(密花………。
あなたの周りにはこんなに人がいたのに、どうして………。)
女優としての彼女を知るたびに、一層わからなくなっていく。
入れ替わりを望んだ理由を………。
「はい、そこまで! 撮影はじめるよ」
ぱん、ぱん、と手を打ち鳴らすケイト。
「もう………少しくらいはいいじゃない」
むぅ、とむくれてみせるルビー。
「あとでたくさん話そう? ………ね?」
「うん! 絶対だからねっ」