第2章 希望を前に幸運はわらう【狛枝凪斗】
「? どういう意味かな?」
「…………」
今更なかった事には出来ない。ならもう、思うがままにいくしかない。
私は意を決して狛枝くんに向き直り、真っ直ぐに緑がかった灰色の瞳を見つめた。
「だって貴方は、コロシアイを起こそうと企んでいるから」
私の直球の言葉に、狛枝くんは目を丸くする。でも次の瞬間、今まで見てきたどの笑顔とも違う、背筋がゾッとするような笑みを浮かべた。その笑みを見て思わず身を固くすると、まるで見透かしたように小さく笑ってから壁に背を預けた。
「もしかして、花村クンから聞いた?」
「……うん」
「そう……で、どうするの?ボクを説得する?」
「……もちろん」
「でも無駄だよ。花村クンにも言ったけど、今止めたところでまたコロシアイを起こすつもりだからね」
そんなの、輝々から聞いたから知っている。そして、その理由も。
"どんなに巨大な絶望が立ちはだかろうとも、希望は決して負けない事を証明して欲しい"、"私達超高校級である希望の輝きをこの目でみたい。その為に自分が踏み台になりたい"と。
輝々も言っていたように、とてもじゃないけど理解出来ない。……理解は出来ないけど、狛枝くんには狛枝くんなりの考えがあるのだいう事は分かった。でもそれは、輝々と同じように絶対に阻止しなければならない。
(それに……)
「コロシアイって、本当に起こさないといけないのかな……?」
思った事をそのまま口にすると、狛枝くんから笑みが消え訝しげな表情になった。
「どういう意味?」
「そのままの意味だよ。本当にコロシアイを起こさないと、狛枝くんの言う"輝かしい強い希望"は見れないのかな?」
「そんなの当たり前だよ!だって、敵が強ければ強いほど味方も強くなる。それと同じでしょ?」
「……うん、そうだね。でもみんなを見てみて」
「……?」
突然の事に狛枝くんは不思議そうに首を傾げたけど、言った通りにみんなの方を向いてくれた。