第2章 希望を前に幸運はわらう【狛枝凪斗】
必死に大丈夫だと伝えお礼を言うと、まだ納得していない感じだったけど狛枝くんは引き下がってくれた。それに安堵すると同時に複雑な気持ちになる。
(心配してくれているのは本当なんだろうけど、何だかなぁ……)
狛枝くんが企てている事を知った今となっては、何だか素直に喜べない。
そう思ってからすぐハッとなり、慌てて首を横に振る。こんな事を考えている暇があるなら、どう説得するか考えなくては。
(……ここはもう、直球でいくしかないかな)
いくらバレたからといって、流石にみんなの前で私を殺そうとはしないだろう。……うん、多分。
(ええい…!女は度胸だ……!)
半ばヤケクソになりながらも勢いよく顔を上げて狛枝くんを見据えたその時
「ちゃん!狛枝!こっち向いて!」
前からそんな言葉が聞こえてきた。その楽しそうな声に釣られて視線を前に向けると、真昼ちゃんがカメラを両手で持って笑顔で構えていた。よく見れば日向くんや日寄子ちゃん達が、カメラに向かってポーズを決めている。……どうやら、これから写真を撮るみたいだ。
それが分かって慌ててピースを作り、カメラに向かって笑顔を見せる。その瞬間シャッター音が響き、「ありがとう!」と言いながら真昼ちゃんは次の人達を撮るべく去って行った。
(……上手く笑えたかな)
せっかく超高校級の写真家である真昼ちゃんに撮って貰ったというのに、上手く笑えてなかったら台無しだ。そう思いながら両手で頰をフニフニ触っていると、狛枝くんが興奮冷めやまぬ様子で話し出した。
「はあ…まさか超高校級の写真家である小泉さんに撮って貰えるなんて、ボクはなんてツイてるんだ!」
「…………」
キラキラと瞳を輝かせ笑顔でそう語る狛枝くんを見て、脳裏に浮かんだのはあの時の言葉。
『ありがとう、さん。……楽しみにしてるね』
「本当にそう思ってる?」
そう言ってくれた時の、あの眩しかった笑顔を思い出して、気付いたら私は疑問を口にしていた。
すぐハッとなって口を噤むけどもう遅い。狛枝くんが不思議そうに首を傾げた。