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【ダンガンロンパ】撃ち込め、恋の弾丸!【短編集】

第2章 希望を前に幸運はわらう【狛枝凪斗】


輝々のお母さんは病弱だ。だから、輝々がいない間おばさんは、花村食堂はどうなったのか。そして、私のお母さんとお父さんもどうしているのか。考えれば考えるほど、最悪な事が頭を過ぎった。
それは輝々も同じだったのか、口では「信じてない」と言ってもその顔は冷や汗だらけで蒼白になっていた。











前置きが少し長くなってしまったけどそんな事が怒涛に起き、そのせいで輝々の顔から笑顔が消えていた。どんなに励ましても効果は全然駄目で、どうしようと考えていた折に、今日の朝ごはんの時に私達のリーダーになった十神くんから告げられたパーティ開催の宣言。
こんな時にと思ったけど、狛枝くんの言う通りこんな時だからこそ私達は互いに親睦を深め合うべきなのかもしれない。それに、パーティをするという事は美味しい料理が必要だ。それなら輝々と私の出番で、料理を作っている間はもしかしたら気が紛れるかもしれない。
そう思い、私はいの一番に賛成の意を唱えたのである。

















(うん、やっぱり賛成して正解だった)

こんな状況だ。忘れるなんて事は出来ないのは百も承知だ。でも、先程の輝々の様子を見る限り、気を紛らわせている事が出来ているのは分かった。それが嬉しくて、今度は思わず笑い声が小さく漏れてしまった。

「ふふっ……と、笑ってる場合じゃなかった。早く苺を取りに行かなくちゃ」

時間は有限ではないのだ。急がなくては。
そう思い、ここに来て初めて足取りが軽くなったように感じながら数歩歩いた時だった。ガチャリ、と横から扉を開けるような音が聞こえてきたのは。
その音につられてつい、と視線を横に向けると––––

「あ、狛枝くん」
「ん……やあ、さん!」

そこにはバケツを片手に持った狛枝くんが旧館のホールから出て来るところだった。
その姿を認めて何となくバケツの中を見てみると、汚い濁った水が入っていて。……もしかしてこれから替えてくるのだろうか。聞いてみると「うん、そうだよ」と返事が返ってきた。


彼は狛枝凪斗くん。
パーティを旧館でするにあたって、掃除をする人を狛枝くんが用意したくじ引きで決めたのだけど、何とよりにもよって彼がハズレを引いてしまったのだ。……超高校級の幸運なのにな、と内心苦笑いしてしまったのは内緒だ。

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