第2章 希望を前に幸運はわらう【狛枝凪斗】
ゴホン……、とにかく輝々と再会できたのはよかったものの、現状は何も解決されていない。聞けば私だけでなく輝々も、そして他の人達も––––つまりこの場にいる全員が同じ経緯でここにたどり着いた事が分かった。
そんな事ってあるのかな?と疑問に思っていたところに、あのウサミというぬいぐるみが現れ、自己紹介をしたと思ったら唐突に修学旅行を始める事を宣言したのだ。
もう頭の中は疑問符だらけ。それだけでも意味不明なのに、そう宣言された瞬間教室の四方の壁がパカリと開き、その先には南国と言われるのに相応しい光景が広がっていたのだ。
……この時の私は、もう色々とキャパを超えていたな、としみじみ思う。
その後は互いに自己紹介をしたり、島を探索しているうちに私も輝々も、そしてみんなもこの状況を受け入れ始め、最終的に私達の顔には笑顔が浮かんでいた。そして倒れてしまっていた日向くんも加わり、ウサミ先生が用意してくれたスクール水着に着替えさあ泳ぐぞとなった時、"それ"は起こったのだ。
『コロシアイ修学旅行』。
突然現れ、ウサミ先生とは真逆の事を宣言したクマの白黒ぬいぐるみ––––モノクマ。そのせいで、私達の間には先程の明るい雰囲気が嘘のように霧散し、ただただ疑心暗鬼の雰囲気に包まれた。
しかもモノクマはそれだけでは飽き足らず、ウサミ先生を自分の妹に改造しモノミと名付けたり、そのモノミを見せしめとして処刑したり、極め付けは数日後に実は生きていたモノミと一緒に漫才をしそこで衝撃的な事を述べたのだ。
"私達が過ごした希望ヶ峰学園での数年間の記憶をモノミが奪った"。
……とてもじゃないけど信じられない。信じられないけど、もし、仮にこれが本当だとしたら––––。