第5章 ゆるふわ
浴槽の泡を掻き分けて、太宰はに手を伸ばす。抱きついて猫のように擦り寄り、の首筋に顔を埋めた。密着した身体と、ぬめぬめと滑る泡の感触に、太宰の性器が主張し始める。
「作戦は大成功だよ。準備に1週間、決行は1時間。世知辛い世の中だなあ」
触れるだけの柔らかな口づけを交わす。太宰はを見詰めて婉美に笑い、猫撫で声を出した。美女も真っ青な其の容貌に、はやれやれと眉尻を下げる。
「色諜報もお手の物だね」
「自分で仕込んでおいて、よく云うよ…ご褒美は?」
太宰の艶めかしい掌が、の首から滑り降りる。優しく胸を揉んでから、腰のくびれをなぞり、下腹部を撫でて、股間に触れた。溢れる愛液と共に、の胎内から中也の体液がドロリと流れ出るのを感じて、は身体を震わせる。口を噤んで瞳を曇らせる太宰の髪を、の手がくしゃりと撫でた。
「欲しいのはご褒美じゃないんだね」
見透かす様なの言葉に、太宰は顔を上げる。少年と呼ぶには大きくなってしまった彼の掌が、の頰を包んだ。
「森さんの、中也を見るような目が、少しでも私に向いたら善いなと思っただけだよ」
撫でるように彼の髪を梳きながら、大人になったら分かるかもしれないねと嘯くに抱きついた太宰は、甘えるような音色で、慰めてくれるよねと囁く。
「嘘でも善いから、愛してるって云ってよ」