• テキストサイズ

【文豪ストレイドッグス】中原中也短編集

第6章 タピオカミルクティ 【for 春鹿様】


般若の形相でタピオカミルクティに噛り付いた芥川は、其れを咀嚼するに従って、緩やかに相好を崩す。も釣られて、立ち上がる赤子でも見るような、緩み切った表情で見守る。妖怪百面相を眺めていた中也もまた、面白そうに笑って問いかけた。

「美味いか?」

「もう少し、甘くない方が」

財布から真っ黒なカードを取り出して、中也は其れを芥川に差し出した。

「好きなだけ買ってこいよ」

どろどろと緩んでいたは、其の台詞にはっと我にかえる。慌てて財布を取り出し、万札を3枚、芥川に握らせた。

「カードが使えないと、いけないから」

右手に中也のブラックカードを、左手にの3万円を握りしめ、芥川は外套を翻して颯爽と扉に向かう。

「店舗ごと、買い占めてきます」

廊下の向こうに消えてゆく芥川の背中に向かって、中也は舌打ちをした。人様のカードを使って一体何をするつもりか。

「店は要らねェぞ!」

「お店が欲しいなら、私が買ってあげるよぉ…」

芥川の勢いに腰を抜かし、床に這い蹲っては囁く。馬鹿しか居ねェのかと、中也は頭を抱えた。


That's all.
/ 44ページ  
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:なごんだエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白い
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp