第10章 まったり休日
あの夜ベルは先に戻っていたため、何があったのかしきりに聞いて
くる。そんなに気になるのは、おそらくティアナの様子も関係して
いるのだろう。
妙に落ち着かないティアナを見て、内容が他言できないような
重要な何かではないと、さらにティアナをからかう要素があると
ベルは気付いているのだ。
「…別に、心配されただけだよ」
今まではぐらかしてきたけど、もう逃れられないことを悟って
ティアナは重い口を開く。
…ただ、色々端折ってだけど。
だってリヴァイに抱きしめられたとか、恥ずかしくて言えるわけない。
「ほかには?」
「……」
腕の感触を思い出してしまってティアナは赤面する。
そんな様子をベルは面白がるような表情で見ていた。
「…兵長に、だ、抱きしめられた…」
ベルの無言の催促に耐えきれずティアナは言う。
かすかに聞こえる程度の音量だったけど、目の前にいたベルは
ちゃんと聞き取ったようで。
「良かったじゃん」
「そ、それでね、ベルに相談っていうか、聞きたいことがあって」
ここまで言ってしまったのだから、とティアナは悩んでいることを
打ち明けることにした。