第13章 悲しみと、不甲斐なさと
・*・
翌朝、部屋に日が差すとともに目が覚めたティアナは、やけに
すっきりしていることに気が付く。
昨夜、リヴァイに話を聞いてもらったおかげだ。
目を瞑ったティアナが思い出すのは、もうデリオ達が
喰われる場面ではなくて、優しく朗らかに笑っていた彼らの顔だ。
――大丈夫
ティアナはそう確信する。
決して後悔を、絶望を忘れたわけではない。けれどそれに囚われる事は
別なのだと知ったから。ティアナは彼らの分まで想いを背負って
いくと決めた。
決意を胸に目を開いたティアナには力強さが宿っていた。
軽く身支度をしてベッドを整えると、仕切り――とは言っても
かなり簡素なものだが――から出る。
医務室にある他のベッドは半分ほどしか埋まっていない。
だから大きな損傷がないティアナもここにいたのだと気付いた。
まだ早朝でここにいるのは怪我人のためか、他に起きている人の
気配はない。ティアナは起こさないようにそっと部屋を出ると
自室へと向かった。
部屋に戻ると、まるで数年ぶりに家に帰ったような懐かしさを覚えた。
ベッドでぐっすり眠っているベルの姿を見て安心もした。
ティアナは静かに、けれど素早く準備を済ませると浴室へ急ぐ。
お風呂で体の汚れをひとしきり落としてようやく、ティアナは
一息ついたのだった。