第9章 リヴァイとの個人訓練
これ以上沈黙が続くなら逃げてしまおうか、なんてティアナが思った
とき、リヴァイがようやく口を開いた。
「…その、なんだ。…大丈夫か?」
「はい、平気です。何も無かったわけだし、こっちが罠にかけ…わっ」
言いかけてる途中で急にリヴァイに抱き寄せられた。
「嘘は良くねぇ。…お前、震えてるじゃねぇか」
心配そうに言われて、ティアナは自分が震えていることに初めて
気が付いた。自分では怖くないと思っていたはずなのに。
リヴァイに抱きしめられてさっきより緊張したけど、反面安心している
ティアナもいた。
「お前はよくやった。…もちろんベルもな。だが、ティアナは
何でもかんでも一人で危険を背負いすぎだ」
「…そんなこと、ないですよ」
返した声は驚くほど小さかった。
ティアナ自身も自分以外が危険にさらされないように、と
考えていたのだ。
けれど、それは当たり前ではないだろうか?大切な人が危険な
目に合うなら、自分がすべての危険を負えばいい。
「もし、ティアナの技術をもってしてもあいつらを倒せなかったら?
無理やりにでも襲われたら?…可能性はないわけじゃない」
「……」
「…なんで俺を頼らなかった?」
リヴァイは絞り出すような声で言う。普段の彼からは想像できない
姿に驚く。ティアナは何も言えないでいると、リヴァイは
抱きしめていた腕をそっと緩めた。
「すまねぇ。部屋まで送ってく」
体の震えは、いつの間にか収まっていた。