第9章 リヴァイとの個人訓練
不意にハンジが声を上げた。
「でもさー、今回はドロシーって子も関係してて、ただの強姦未遂
じゃあないでしょ?だから詳しく本人たちから話聞いてから
決めれば良いと思う」
「…そうだな、ハンジの言うとおりだ。とりあえず戻ろうか、
ここは冷える」
エルヴィンがみんなを促す。
ティアナも言われてみれば、冷たくなっている手足に気が付いた。
・*・
「…ティアナ」
みんなで兵舎に戻り、それぞれの部屋に戻ろうとしていた時リヴァイに
呼び止められた。
ベルは身振りで先行ってるね、とティアナに伝えて去っていって
しまう。いつの間にかハンジとエルヴィンもいなくなっていて、
完全に二人きりだった。
色々ありすぎて随分時間が過ぎているような気がするけれど、
今日リヴァイに訓練で助けてもらってから一日も経っていないのだ。
ティアナは落ち着かなくて視線を彷徨わせる。
「…呼び止めてすまん」
「いえ、大丈夫です」
…沈黙。
呼び止めたリヴァイが話さないので、ティアナが話し始めるわけ
にもいかず、何とも居心地の悪い時間が過ぎていく。