第9章 リヴァイとの個人訓練
ティアナは人気のない、月明かりだけが頼りの暗い道を黙々と
歩いていた。
自分で行くことを決めたけど、不気味な様子に少しだけ体が震える。
指定された倉庫の裏に着く。
少し離れた場所に背が高い人影が見えた。
「やぁ、ティアナちゃん」
ねっとり纏わりつくような男の声に、気持ち悪くて鳥肌がった。
でもここで怯んでは意味がないから、震えないよう努めて声を出す。
「…兵長が呼んでるって聞きましたが」
「あぁ~、兵長は来ないよ」
「それなら帰ります」
踵を返して戻ろうとすれば、どこに潜んでいたのか周りから男たちが
出てくる。四方を囲まれてティアナは動けない。
「逃げちゃだめだよ?大人しくしてれば痛いことはしないからさ」
「…誰の差し金?」
「ん、誰でもないよ?…そんなことよりイイこと、しようぜ」
知りたいことを聞き出すために四人からの視線に耐える。
段々と近づいてくる男たちに、いつでも応戦できるように軽く身構えた。
「…ドロシーになんか言われた?」
「…っ、なんでそれを」
「おいっ」
ティアナが出した名前に四人のうちの一人が反応する。
それを他の男が急いでたしなめるけれど、それすもら問いかけに
答えているようなものだ。