第9章 リヴァイとの個人訓練
熱い顔をパタパタと手で仰いでいると、誰かに呼ばれる。
「あの、ティアナさん」
「…はい、何でしょう」
振り返ってみれば、そこにいたのはいつかの嫌味を言ってきた新兵で。先入観を持つのはいけないけど、なんとなく身構えてしまう。
「リヴァイ兵長から伝言です。夕食が終わったら一人で倉庫裏に来い、だそうですよ」
「分かりました。伝えてくれてありがとう」
「いえいえ」
その新兵が去ってから、ティアナはベルと顔を見合わせる。
「…怪しいね。ティアナ、行かなくていいよ」
「でも行かなかったら後が怖いし…」
ベルには嫌味を言われたことも話していたからあの新兵を疑っている
ようだったけど、ティアナはそれよりリヴァイが人気のない
暗い倉庫に呼び出す事がありえないと感じていた。
リヴァイはなんだかんだ優しいから夜に一人でそういう危ない所に
来いなんて言わないだろうし、何よりそんなことするなら執務室に
でも呼びつければいいのだ。
ティアナの何があの新兵の気に障ったのかは心当たりがないけど、
よく思われていないことは確実だし今回の呼び出しは裏がありそうだ。
「…ねぇベル。ちょっと考えたことがあるんだけど…」
だけどティアナには勝算があった。